鈴鹿香寿苑

事業所紹介

法人名:社会福祉法人けやき福祉会
事業所名:特別養護老人ホーム鈴鹿香寿苑
住所:鈴鹿市稲生西3丁目17-17
利用者数:80名、8ユニット(各ユニット10名)
職員数:47人

伴走支援依頼時の課題

法人としては職員の仕事とプライベートの両輪を大事にするために、職員の業務負担の軽減のに取り組んでおり、その一つとして見守り機器の導入を購入していましたが、十分に活用できていませんでした。

そこで、見守り機器を活用できるようにするために、教育体制の構築を行うこと、今後のICT導入を見据えたプロジェクトチームづくりを行いました。

■見守り機器活用のための教育体制構築

見守り機器は購入していたが、十分に活用できていませんでした。
導入のメリットがなかなか現場で感じられていないことが課題でした。
見守りセンサーの導入で現場での生産性を向上させ、入居者様への支援の質を向上させることを実現するために、①独自マニュアルの作成 ②マニュアルも使った現場でのOJT ③適切な機器の設定 を行うことで見守り機器を活用できるようにしました。

■ICT導入のためのプロジェクトチームづくり

生産性向上のためにICTを利用していくためには、その中核的役割を果たす組織が必要でしたが、当施設では本格的なICT化に取り組むのは初めてで、そのノウハウを持ち合わせていないのが現状でした。
この度の伴走支援を受けることにより、施設課題を明確にしつつ解決策の一つとしてのICT化を、プロジェクトチーム中心で推進していく体制を作ることを目指しました。

見守り機器は買っただけでは活用されなかった

プロジェクト推進のための体制構築

見守り機器活用のための教育体制構築

■実施したこと

  • ヒヤリハット・事故の多さなど、人員が少ない夜間の課題が多かったため購入した見守り機器”aams”の活用を試みました。
  • 自施設に合った独自マニュアルを作成しました。
  • OJTも合わせた教育を行い、aamsをうまく活用することで課題の解決や軽減にコミットしました。

■工夫したこと

  • 独自マニュアル作成にあたっては、全職員にとってわかりやすく、機器導入を前向きに捉えられるような工夫をしました。
    具体的にはICTに不慣れな職員向けに、PCの音量調整などの基本操作も記載しました。
  • aamsの効果的な使用例を記載しメリットをアピールしました。

PC基本操作も入れた独自マニュアル

■苦労したこと

aamsはバイタルセンサーであるため、アラートの設定は入居者様によって個別に対応することが必要です。
心拍・呼吸数のベースライン、アラートが鳴ってほしいタイミング、寝具によって感度の設定が少しずつ異なってきます。
より良い設定値にするため今でも日々試行錯誤を繰り返しています。

■結果

aamsの設定や職員の操作の精度が高まったことで定期巡視の見直しを行うことができました。
(夜間訪問回数について)
利用者A 10月186回 ⇒ 1月155回
利用者B 10月93回 ⇒ 1月62回

ユニット
リーダー

見守り機器を導入してすぐは、使い方もわからず、どうしていいか困惑していました。アラートが頻繁に鳴るため「見守りセンサーなんて入れなくていいのに。」などの声もあがっていました。しかし、機械に慣れていくと見守りセンサーを活用して負担を軽減できるようになりました。

施設長

見守り機器導入当初は抵抗があり、自分の目で確認した方が安心するといった意見がありましたが、教育により機能を理解し体感することで活用が進んでいきました。サービスの質を落とさずに職員の負担軽減を図ることが現実となることは生産性向上の一歩かと思います。

ICT導入のためのプロジェクト推進

■実施したこと

  • ICT(今回は見守り機器のaams)を活用して当苑で抱えている課題(今回は職員が手薄な夜間帯での課題)を協議解決するための中核的役割を果たすプロジェクトチームを結成した。
  • 「福祉施設の職員としての自覚を持ち、専門性を高めるために常に自己研鑽し、質の高い福祉サービスの提供ときめ細かな生活支援を行います」という当法人の基本方針の実現のためにICTを活用することを方針としキックオフとしました。

■工夫したこと

  • チームの構成メンバーに施設長を入れ、aams設置の2ユニット、さらに他のユニットからもチームに参加してもらい、施設全体で取り組む体制を作りました。
  • aamsの活用のために現場職員からの聞き取りやアンケートを実施し、フィードバックを行うことで日常の支援でaamsが役立つと思える環境を整えました。
  • 法人本部から法人としてICT利用の方針を記した文書を展開しました。

■苦労したこと

プロジェクトチームと現場ユニット職員でミーティングを行ったことが印象に残っています。そこでは日々感じていたaamsやプロジェクトへの不信感も率直に発表しました。その結果、建設的な議論ができ、現場職員も納得してプロジェクトを前向きに捉えることができたので、そのミーティングは大きな分岐点だったと感じています。

プロジェクトチームと現場ユニット職員との
ミーティング

■結果

aamsの活用方法が身近に感ずることが出来るにつれてユニット内でも積極的な意見がでるようになり、ユニット全員で取り組む方向性が見えるようになりました。
一部の職員だけが頑張るのではなく、個々の職員一人一人が問題意識をもち全員で課題を解決できる一歩を始めることができました。

ユニット
リーダー

プロジェクトチームと現場職員でミーティングを行ったことが印象に残っています。プロジェクトへの不信感も率直に発表しました。その結果、建設的な議論ができ、現場職員も納得してプロジェクトを前向きに捉えることができたので、そのミーティングは大きな分岐点だったと感じています。

施設長

ユニット内にネガティブな空気が流れる中、何度もユニット内で意見交換がされその解決方法をプロジェクトチームで協議し独自マニュアル作成などに反映できたことは、職員の積極的な意識向上にもつながり力強さを感じることができました。

今後や生産性向上の取り組みの継続について

■継続して実施すること

aams設置ユニットにおいて引き続きaamsの利点を活用できるよう協議を重ねて夜勤者の負担軽減のために「定期巡回数削減プロジェクト」行っていきます。
また看取りの入居者の方へのケアにaamsのデータを活用しきめ細かな看取り支援を目指したいです。

■次の計画

他のユニット(6ユニット60名)にも、aams設置を進めます。

■取り組み継続のためにどうするか?

  • 施設長
    aamsが導入されて半年でスタートラインに立ったところだと思います。今後も施設の生産性向上の取り組みを維持推進するためには、今回のプロジェクトチームを発展させた委員会の組織化が必要と考えています。
  • 現場スタッフ
    私たちがaamsス導入直後に感じていた不安や否定的な気持ちは今後ICTが導入される他のユニット職員も感じると思います。その時に、積極的に私たちが他のユニット職員とコミュニケーションを取り、法人全体で前向きに取り組みを進めていきたいと思います。

■今後の目標

けやき福祉会の基本方針の1つである「福祉施設の職員としての自覚を持ち、専門性を高めるために常に自己研鑽し、質の高い福祉サービスの提供ときめ細かな生活支援を行います」の実現のため、ICTによる介護業務の変革を恐れない施設づくりを目指していきたいと思います。

全ユニット・法人への見守り機器の展開

質の高い介護のためにデータ活用を行う

コンサルタントから一言

コンサルタント

見守り機器aamsの導入支援という形になりましたが、それと同時に「なぜ見守り機器を導入するのか?」「なぜ活用できていないのか?」というところから施設の課題を見える化し共有をしていきました。そして法人本部から方針として書面も出していただき施設長もプロジェクトメンバーに入ること、キックオフ宣言を行っていきました。
これにより、何のためにaamsやその他のICTを導入するかの大義名分ができました。

aamsの利活用を促進するために、見やすくシンプルな独自のマニュアルを作成し、研修やOJT等を行うこと、aamsのアラート精度の調整をこまめに行っていくことで、aamsへのネガティブな部分よりもポジティブな部分へ目が移っていきました。