鈴鹿グリーンホーム翠風
事業所紹介
法人名:社会福祉法人鈴鹿福祉会
事業所名:ショートステイ 鈴鹿グリーンホーム翠風
住所:三重県鈴鹿市岸田町字六名1547番地73
利用者数:入居者20人 2ユニット
職員数:16人

伴走支援依頼時の課題
当施設が位置する地域は市外から離れていることもあり人口動態を考えると、継続的な人材の確保は施設の安定経営においては大きな課題となっています。
そして、日々利用者が変化するショートステイにおいて、安全かつ効果的にサービスを実施をしていくにはどのようにしていくべきか、またそれに対して職員が疲弊することなく業務を継続していくにはどうすれば良いか考えていました。
また、今現在は多くの介護テクノロジーを導入済みですが、今以上に生産性を高めていくにはどうしていくべきかが課題となっていました。
■生産性向上とともにワークライフバランスを高める
介護スタッフが持つべきスキルを習得し、そのスキルをケアに反映することができるように、ムリ・ムダ・ムラを減らし生産性向上を目指しました。
時間的、精神的な余裕が得られることで、介護サービスの質は向上し、ワークライフバランスが高次元で成り立つことで職員が定着する事業所となることを目指しました。
■自施設だけでなく地域全体の生産性向上を目指す
当法人の理念「私たちは、地域に信頼されるべき存在であり続けます」を実現するために、当施設のみの生産性向上ではなく、地域全体の生産性の底上げを行うために、介護テクノロジースキルを持ったスタッフを育成し、地域にこのスキルを還元し、地域の方々から選ばれる事業所になることを目指しました。

生産性向上でワークライフバランスを高める
■実施したこと
- DX(デジタルトランスフォーメーション)化を含め、多種多様な介護テクノロジーを活用しました。
- 外国人介護人材を雇用しました。
- 高年齢者を雇用し介護助手(清掃など)の適切な業務に従事してもらいました。
- 生産性向上推進体制加算(Ⅰ)を算定しました。
※令和6年度伴走支援前からの活動も含まれます
■工夫したこと
- 目標や成果を明文化・見える化することで、法人で働く職員全体が同じ目標を持って業務に当たれるようにしました。
- 個々の職員のアイディアを拒否することなく、テクノロジーの可能性を引き出し、さらにテクノロジーを組み合わせて使用しました。
- 介護テクノロジーを用いることで言語の壁を低くし、外国人介護人材の能力開発を行いました。
- データを活用し、業務平準化に向けたミーティングを開催しました。特に入職キャリアが浅い介護職員に対して、訪室データを活用し夜勤業務に関するフォローアップを行いました。


■苦労したこと
- 高年齢スタッフのデジタル機器活用
- 外国人介護人材の言葉の問題
- 機器に不具合が出た際の対応
- 生産性向上推進体制加算(Ⅰ)算定のためのスケーリング、データ取り
■結果(抜粋)
- 介護職員離職者数(R3.12(開設)~R5.4とR5.5以降の比較) 3名 ⇒ 0名
- 時間外勤務時間(R4.2とR6.4の比較) 5.7時間 ⇒ 3.6時間
- 介護職員の心理的負担評価(モチベーションの変化)(R4.8とR6.10の比較)
「仕事のやりがい」を感じていている職員の割合 57% ⇒ 82%
「職場の活気」を感じている職員の割合 29% ⇒ 91% - 産休・育児休業等からの復帰率 100%(2名中2名)
生産性向上推進体制加算Ⅰを算定するための指標は全て改善または維持できています。

- 残業時間が削減され、プライベートが充実しました。
- 見守りカメラの使用で訪室回数が削減さ減り、心身負担が軽減されました。
- リフト浴の活用で腰痛の軽減、予防につながった

- 離職者が生じず、職場復帰した職員もおり、安定して運営や取組を行うことができています。
- 生産性向上に関して設定した目標や数値を見える化し、職員が協力して各種取組を実践することで成果を出すことできました。
介護テクノロジー人材で地域全体を底上げする
■実施したこと
- 地域全体での介護の生産性向上を実現するために、介護テクノロジーに関する啓発活動を行いました。同時に啓発が行える職員を増やしていきました。
介護テクノロジーに関する施設見学の受け入れや体験型講座を開催しました。 - 職員の介護テクノロジースキルを標準化するために、介護テクノロジースキル評価表を作成し、職員の評価を行いました。
- 同じ「知っている」でもレベルは様々です。介護テクノロジーを「知っている」→「理解できる」→「実行できる」→「人に教えられる」とレベルを上げました。
■工夫したこと
- 介護テクノロジースキル評価シートで客観的に職員のスキルを把握できるようにしました。
- 小中学校生、看護専門学校・介護福祉士養成校等の生徒や学生に対して介護テクノロジーの体験型授業を実施しました。
- 以前は外部の見学者等への対応は特定の決まった職員が行っていましたが、現場で日常的に介護テクノロジーを使用している職員が説明を行うようにしました。

■苦労したこと
- 見学対応時に、介護専門職とそれ以外の方へは説明の仕方を変えないと理解してもらえないため専門用語の使い方や教え方などで苦労しました。

■結果
- 見学の受入回数 11回(R6.4~R7.1)
- 外部への対応を初めて行った職員の数 1名
- 生徒、学生への教育活動 4回(R6.4~R7.1)
- 企業向け介護保険セミナーの開催1回(R6.10)
- 介護テクノロジースキルの把握・プレ評価を実施(R6.11)
- ホームページによる情報発信⇒計135回(R6.4~12)


ユニットリーダーの中には、人前で話すことが苦手な人もいましたが、ユニットリーダー同士でアドバイスを出し合い、研修を行うことができました。支援に迷ったときは、理念、支援方針、行動指針に照らし合わせ“なぜ”“誰のために”それをするのかを忘れないようにしたいです。

学生等の教育活動では介護・福祉の仕事に対する理解を得ることができました(中学校生徒に対する仕事学習セミナー事後アンケート結果)
とても興味を持った・興味を持った:90.6%
福祉・介護の仕事の特徴や内容を理解できた:88.7%
福祉・介護の仕事をしたい・もっと学びたいと考えるようになった:92.5%
今後や生産性向上の取り組みの継続について
■継続して実施すること
地域に対して介護テクノロジーに関する働きかけをさらに推進します。
介護現場から、地域・社会・教育機関・県内企業まで幅広く働きかけていきます。
■次の計画
- 介護テクノロジースキルを持ち、啓発を行える人材を地域へと輩出していきます。 事業所独自認証「(仮称)介護テクノロジーエバンジェリスト」の創設を行っていきます。
- 介護テクノロジーや介護テクノロジースキルを法人内への施設へと横展開を図ります。
- 三重県を介護テクノロジー先進県と言われるようになるよう関係各所と連携をとり尽力していきます。
■取り組み継続のためにどうするか?
- 上司
積極的に生徒、学生、地域住民、県民、介護福祉関係事業者等に介護テクノロジーや生産性向上についての理解促進に向けた働きかけを行い啓発に努めます。 - 現場
介護テクノロジーに関するスキルを拡張します。見学者やイベント等で現場スタッフでもデモや説明を行うことで他者に教え外部に発信していくスキルも養います。


コンサルタントから一言

当施設は三重県内でもテクノロジー導入が進んでいる施設です。そのテクノロジー側に目が行きがちですが、注目すべきは、しっかりと明文化された理念や方針です。
「私たちは地域に信頼される存在であり続けます」という理念のもと、人口減少が進む状況でどうすべきかを検討した結果「人材確保」「テクノロジーの利活用」という方針が立てられ明文化されています。
理念を叶えるための手段としてテクノロジーの導入が進んだということを忘れてはいけません。
本伴走支援では自施設だけでなく地域全体の生産性向上を目指しました。そこで、介護テクノロジー人材を輩出していくこと、そして介護テクノロジーの啓発活動を行っていくことを目標にし、介護テクノロジー人材の教育制度作りや外部への活動を行っています。